ionicons-v5-m

甚大な被害を生じた地震から8カ月半が経ち、9月21日、地震で大きな被害があった奥能登地域が、豪雨という再びの災害に見舞われた。能登半島地震の震源域に近く、特に家屋の倒壊等の被害が大きかった地域を襲った2度目の災害―。

本作の監督を務める宮本亞門は、能登でのボランティア活動に参加、想像を超える被害と復興の遅れを目の当たりにし、「もう生きていてもしょうがない」という被災者の言葉に、未来を想像することすら苦しみとなっている現実を知る。

宮本が地元の人々の声を聞き、言葉に触れ、復興の想いを募らせ、その想いに賛同したスタッフ・キャストが集結し、このプロジェクトは始まった。
宮本が企画・監督・脚本を務めたショートフィルム『生きがい IKIGAI』と、映画撮影のために訪れた能登の「今起きていること」を映し出したドキュメンタリー『能登の声 The Voice of NOTO』で構成される本作は、深い傷跡を負う能登の「今」が映し出されている。鹿賀丈史演じる心を閉ざした孤独な男が生きがいのかけらを取り戻す姿を描いた温かな人間ドラマと、実際に能登半島で生きる人々の涙と希望を収めたドキュメンタリー。

フィクションとノンフィクションを同時に体感することで、本当の能登の今を伝えたいー。能登で起こっていることを知るだけではなく、能登で生きる人々に寄り添えることを願い、『生きがい IKIGAI』は誕生したー。

この映画の収益の一部は北陸能登の被災地の復興支援に充てられる。

『生きがい』STORY

石川県能登の山奥。
土砂災害の被災現場で、崩壊した家の下から一人の男が救出された。
見守っていた人々から声をかけられるも、元教師で「黒鬼」と呼ばれる山本信三は鋭い眼光を残し、去っていく。

避難所になじむことができない黒鬼は、崩壊した自宅の一角で暮らし始める。
ある日、被災地ボランティアたちが黒鬼の自宅の片づけの手伝いに訪れた。
壊れていたり汚れて使えなくなったものを処分していくボランティアたちだったが、
あるものを捨てようとして激怒した黒鬼に追い出されてしまう。
ボランティアが捨てようとしたのは、黒鬼にとって、唯一の理解者であり、今は亡き妻の形見の茶碗だった。

後日、亡き妻のことを知ったボランティアの青年が再び黒鬼の元を訪れる。
彼もまた、大切な人を亡くしており「自分と同じだ」と、黒鬼に心のうちを語りかける。
青年の話を聞いた黒鬼は、被災にあい倒壊した家に閉じ込められていた間のことを話し始めた—

COMMENT

鹿賀丈史
昨年の元旦に能登地方を襲った大地震、そしてその後に起こった水害、
この2つの災害に能登の人々がどれだけ心をまたカラダを痛めつけられているのかと思うと気が気ではありませんでした。
そういう想いをしている時に、宮本亞門さんから、能登の現状やそこに生きる人を描いたショートフィルムを撮りたいというお話を頂き、
即参加したいという意思を伝えました。
少しでもこのショートフィルムで能登の方々が、元気になってもらえたらと思い撮影に挑みました。
撮影自体は亞門さんの想いの強さもあり、丁寧に丁寧に撮影を重ねました。
このショートフィルムを通じて、観ていただいた方が少しでも強く生きていくということを感じていただけたら、これ以上幸いなことはありません。
常盤貴子
宮本亞門さんが能登のために立ち上がってくださる。
私にできることがあるなら何でもしたいと思いました。
とてつもなく明るく、いつもあたたかく、愛に溢れた現場でした。
それもそのはず。
スタッフも、キャストも、みんながみんな、能登を思っての参加だったから。
亞門監督、今の能登を撮影してくださり、ありがとうございます。
宮本亞門
監督・脚本・企画
能登の被災者が「元旦の震災、今度はこれか。まだ頑張らなきゃいかんのか」と語り、
現地の女性が「突然、やることも目標も消える…こんなに辛いことはない」と呟いた言葉に、深いやるせなさを感じました。
だから私は願います。命ある限り、諦めないでほしい。1日1日を生き抜けば、きっと希望が見える。
その思いで30年ぶりにメガホンを取りました。
この作品が、皆さんが「生きがい」を見つめ、心にそっと寄り添えますように